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3月 

美容師さんの物件を一緒に見て回る。
いつも一緒にいるのはロン毛の不動産屋さんのTさんだ。
高円寺の町をかなり歩いた。Tさんの歩くスピードは速い。

 最近、気が付いたことは店舗物件というのは物件情報を見て探すのではなく歩いて探すのだということだ。
Tさんは仕事のできる人で物件を見つけてくる。掘り出してくる?いや作り出すぐらいのことをやる。
選挙事務所だろうと営業中の店だろうと、空きそうだぐらいの不確かな情報でもすぐに直接交渉に入る。
はたから見ているとあまりにも不躾すぎて痛快だ。
金の匂いがすると誰よりも早くそこに駆けつけて、価値のないものに金額をつける。
Tさんの夢はラブホテルを作ることらしい。理由は絶対に儲かるからだそうだ。
いつだったかTさんが夕方の高円寺を人ゴミなど存在しないかのように早歩きで歩いてるのを見た。後ろから付いてくるTさんの若いのも同様だ。
これは面白いモノが見れると思って俺はその後をつけてみた。
庚申通りからララマート前を抜けて中通り手前の路地をものすごいスピードでコーナーリングしていった。
見失った!と思ったらその路地の総菜屋さんでコロッケを買っていた。
あとでその話をふってみたら、「あそこのコロッケうまいんですよ」とのことだった。
24時間そういう人なんだとその時に知った。信用できる人かもしれない。

 Tさんが見つけて来た物件を見た後、帰りの道すがら高円寺駅に向かう途中でTさんに聞いてみた。
 「この豚カツ屋さん最近よく休んでるけどどうしたのかな?」
Tさんの行動は早い。まわりの不動産屋さんに聞き込みをして。10分後にはその店の鍵を持って現れた。
「体調不良で最近閉めたばかりで、服屋が二件と正体不明のおじさんが興味を持っていますね。家賃はこんなもんで、あんなもんでしょう。」
話が早い。この人を見ていると市場の人間を思い出す。聞かなくても、知りたいことを伝えてくる。
内見をした。
美容師さんが「バーボン!俺には広いけど一緒にくまねえか?」と言ってくれた。かなり乗り気だ。
勢いにおされて「いいねえ。」なんて言った。

その日の夕方店を空ける前に「俺は人とは組めない。世話になっているのに申し訳ない。」と言いに行った。
「そうだよね、バーボンちゃん叩き上げだからね。どうする?あの物件?」
 「俺はやってみたい。」即答した。

自分でも驚くほどの即答だった。Tさんの影響かもしれない。

  by kouenji-bourbon | 2008-02-01 20:02

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