2007年3月終わり

誰もいない遅い時間。
店じまいの準備に入ろうとしていた。
店に若い男が入ってきた。つっぱてやがる。でもなんか思いつめてんな。
さあもう一仕事だ。
ソイツは席には着こうとせずこういった。「ここは人を募集してないっすか?東京来たばかりっす。」
 「してない事はないけど君は年いくつ?出身は?」
「18っす。大阪っす。」つっぱてんな。
 「どおでもいいけど、お前さん仕事が欲しいんだろ。もっとシャキっとしねえか。真っ直ぐ立てねえのか?」
ソイツは慌てて体をブラブラさせながら喋るのを止めた。
それでいいのよ、おいちゃん見飽きてるからそういう若い奴。
 「俺の知り合いの店を紹介してやるよ。キツイけど。」
知り合いに電話した。酔っ払ってて電話に出なかった。
携帯の番号を聞いてソイツと別れた。
次の日、抱瓶の加藤さんとハイタロウさんに電話した。
 「思いつめた感じの東京でて来たばかりの若い奴が仕事欲しいって言ってんだけど。」
「ソイツはまさにウチ向き!連絡させて。」2人とも喜んでくれた。
ソイツに電話した。何回電話してもソイツは出なかった。
昨日脅かしすぎた。少し後悔した。

しばらくして。
ソイツが高円寺の八百屋で働いてるのを見た。
 「おい!大阪出身18歳!」
ソイツはとぼけていたが、俺はとぼけさせない。若い奴にヘンな癖はつけさせない。
 「お前さん、俺のところに仕事が欲しいって来ただろ。八百屋さんで働いてるの?」
「はい、その節はどうも。今度、飲みに行きます。」
 「いいよ、来んなよ!ビンボー人。よかったじゃん。八百屋が決まって。」
「はい。」
 「俺 よく来るから。よろしく頼むわ。」

それからしばらくして
ソイツは八百屋で見かけなくなった。
たまに昼間町で一人で道に座り込んでつっぱてるのを見かけた。
そしてしばらくして友達が出来たようで2人で道にしゃがんでいることを見かけた。

そして今はソイツを見かけることはなくなった。

 

 
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  # by kouenji-bourbon | 2008-01-13 17:59

3月の中頃 のいつだったかの爆音ナイト

クラブルーツのDJブースに立っている。
いつもの曲をいつもどおりかける。

マイクを持って叫んだ。
 「バーボンハウスは若い力を求めてるぜ!行き場のない野郎は俺んとこ来い!国が俺に金を貸してくれるってよ!」
 「何も心配するな!全て俺に任せておけ!それが一番の近道だ!」


あー最高に気分がいい。
文章では見飽きてたけど初めて人前で口にしたよ。
まいったなー酒の席の話は守んなきゃね。
飲み屋の男だもの。
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  # by kouenji-bourbon | 2007-12-21 18:57

3月6日 火曜日 マジが通じた。

昼過ぎに店に行った。
でかい封筒が届いていた。

島田 功殿







融資の決定が決まった。
美容師さんに電話した。
「マジでか!3日で結果がおりるなんて聞いたことないぞ!満額か!すごいぞ!とにかくおめでとう!」
感動した。この商売をやっていて初めて世間に認められた。
店で一人で銀杏ボーイズを聞いた。
2年前、お客なんて誰もいないバーボンハウスによく来ていてくれた人が教えてくれたバンドだった。
その人は物書きでバンドをやっていた。
その人のライブに呼ばれて行った。その時銀杏ボーイズも出ていた。
そのあとその人が飲みに来てくれた時にあえてブシツケに質問した。
 「なんでライブでパンツイッチョになったり、チンチン出したりするんですか?」なんとなく判っていたけど言葉が欲しかった。それぐらいその頃の俺は悩んでいた。
「バーボンさんなにを言っているんですか!僕が相手にしているのは10代20代の若い子達なんですよ。彼らは純粋だからウソは通じないんですよ。マジにならなきゃ何も通じないんですよ!バーボンさんがマジだから僕は飲みに来ているんですよ。」
その頃ウチではその人が持ってきた発売前の銀杏ボーイズがかかっていた。
正直、30過ぎの俺、その頃は聞くのがつらかった。うまく生きる方法なんかない!と言い切られているようだった。
今日はどれも沁みる。店がなければ酒を飲みたいぐらいだ。

そのあと「クローズ」と「ワースト」を読んだ。
店を出したばっかりの頃、よく来てくれていつも俺に説教していた同い年の彫り師の男が読めというから読んだ本だ。
「バーボン、カッコいいってこういうことだぞ!」
正直、30過ぎの俺、読んでてつらかった。これからなにを影響されればいいんだと思った。
そのあとソイツは「花の敬二」を持ってきた。
勘弁してくれと思った。
「バーボン!つまりこいうことだ!」
 「いい加減にしてくれ!」
ソイツと話したことは書ききれない。
ソイツは有名になって、住んでいる町では皆が挨拶するぐらいの男に成った。
今思えばソイツが言っていた事はどれも正しかった。その当時は一緒にいるのも辛かった。


バンドマンも彫り師も今はこの町にいない。
彼らが残してくれた事を今俺がこの町で実践している。二人とも相変わらず精力的に活躍している。

思い出せば色んな人に影響を受けてきた。気づかされてきた。あげるとキリがない。ほとんどがお客として俺の酒を飲んでくれた人だ。
俺はそういう人を天使と呼んでいる。
 
店を開けて。
閉めて。
酒を飲んでねた。マジは通じる。きっとそういうことだ。
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  # by kouenji-bourbon | 2007-12-20 17:22

3月5日 月曜日

店を開ける前に国金に電話して。答えられなかった質問に答えた。
 
そんな事は存じてますよ。そんな感じの答えが返ってきた。

店の準備をした。
店を開けた。
店を閉めた。なんとなく。

全て出し切った。これ以上は何もない。ただ最後に出したのはウサギのフン程度だった。
相手のそんだけって態度に表れてた。
そんだけです。出し切りました。
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  # by kouenji-bourbon | 2007-12-12 15:25

3月4日 日曜日

馬橋公園に野球の練習に行った。
何年も毎週欠かしたことのない日曜日の使い方だ。
というかそれ以外の休みの日の過ごし方がわからない。
というか草野球の練習があるからバーボンハウスは日曜日が休みだ。
最近みんなの集まりが悪い。昔は10人以上で練習していたけど今は多くて4、5人だ。
いつまでも同じじゃいられない。

一服しながら公園を眺めているとよく見かける光景がある。
一人でボールとグローブを持ってボーっと突っ立てる子供。
自分が投げたフライを捕ったり。壁に全力投球したりする。そしてまたボーっと突っ立てる。
毎週のようによく見る光景だ。
同じ奴だったり、違う奴だったり。しばらくして、いなくなったと思うとまた別の奴が同じ事をしてる。
彼らは友達が来るのを待っている。「ボールもある。グローブもある。今日はバットも持ってきた。楽しいから野球やろう。」
暇な日に誰もいない店内でよく彼らのことを思い出す。
俺の仕事もボールとグローブを持って一人で公園に突っ立てる子供みたいだな。
 「お酒がたくさんあるよ。カレーも作ったんだ。最近はタコスも作れるようになったんだよ。美味しいから食べに来てよ。」
俺も誰かが来るのをいつも待ってる。
たまに何かのきっかけで彼らと話す事がある。今日はその日で軽くキャッチボールをした。かなり嬉しそうにしてくれた。ここは彼の店だ。
そんな時は必ず言っている事がある。
「俺は甲子園に出た事があるんだ(ウソ)。バーボンハウスは知ってるか。ここの近くだ。大きくなったら飲みに来い。」

ドント トラスト オーバー サーティーだぜ。
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  # by kouenji-bourbon | 2007-12-12 15:04

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