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4月になってからのこと

この一ヶ月、昼間はいつもここにいる。
新しく借りた豚カツ屋の物件だ。
ここでなにをしているかというと、店のレイアウトを考えている、人通りを見ている、事業計画書の資料を集めている、缶コーヒーを飲んでる、タバコを吸ってる。
ここには電気が通ってない、夕方になり暗くなるとここを出てバーボンハウスの開店準備に入る。
主になにをしているかというと人通りを見ている。
閉店した豚カツ屋の中で外の人通りを見続ける。
一日に何人か店を訪れる人がいる。豚カツを食べに来た人達だ。
事情を説明するとみな残念そうに帰っていく。愛されていた店だというのがよく解る。
俺も何度か食べに来た事があった。でっかい豚カツが嬉しかった。水曜日は半額だった。
やっぱり豚カツ屋をしようかな、俺が始めようとしてることのほうが明らかに馬鹿げてる。
そういえば最近の俺は豚カツばかり食べてる。うまいという店があると行き。
この店の道具を使って自分でも作ってみたりした。
事業計画がどんどんイビツになっていく。

今日も人通りを眺めていた。知ってる奴が歩いていた。
珍しい顔だ。この辺の奴じゃないはずだ。店を出て声を掛けた。
 「よお、お前こんなトコで何やってんだよ。」
「バーボンさん!お久しぶりです。高円寺に越してきました。芸人を目指して。」目がキラキラしてる。この時期多いなこんな奴。
 「なんで?大学院は?」
「辞めました!去年の暮れのフリーマーケットやバーボンハウスの4周年でネタをやらせてもらってギャラまでいただいて、その時の感動が忘れられなくて。」目がキラキラしてる。
 「やっちまったなーお前。なんてことしてんだ。芸人?売れるわけないだろ。」
「でも自分はその時の感動が忘れられなくて、もうやるしかないって決めたんですよ!」キラキラしてる。
 「その時の感動を青春の思い出には出来なかったのか?」
「、、、、、、いや、ないっすね。」少し曇った。
 「まあいいや、やるんならトコトン頑張れや。応援するよ。ところでお前何してるの仕事は?」 
「日雇いでなんとか食いつないでます。」
 「日雇いでなんとか食いつなげよ、今度新しい店出すからそこで雇ってやるよ。」
「本当ですか!どこですか?」
 「ここ。この店を新しいバーボンハウスに作りかえるから。」
「やりますよ!」キラキラしてる。「凄く運命を感じます!」
 「お前には最高の苦痛を与えてやるよ。よろしく頼むよ。」
「え。」少し曇った。
 「5月には動けるようにしとけよ。」

これで書きかけの事業計画書の4人の従業員の内の一人が決まった。
しかしこの時期多いなーこういう奴。
 

  by kouenji-bourbon | 2008-04-07 00:39

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