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4月になってからのこと

東京信用保証協会の面接に行った。
事前の面談で担当の人は困り顔だった。
すでに300万円を国金から借りている男が、足りないから500万円の保証人になってくれといいに来ている。
しかもその男は自己資金ゼロだ。
何度も事業計画書を書き直した。
その度に背筋が凍る思いがした。失敗したら俺終わる。実感した。
担当者の困り顔も消える事はなかった。
何度も何度も何度も書き直して見事な事業計画書が出来た。
書類だけでなく、自分の心構えも。

面接は通った。その場で知らせてくれた。俺は深々と頭を下げた。
一世一代の賭けが始まると思った。
自転車で帰った。覚悟した。

  # by kouenji-bourbon | 2008-09-20 15:59

2007年 4月になってからのこと 政治

この時期は選挙でこの通りは盛り上がっていた。
この通りの店主が2人も区議会議員選挙に立候補したからだ。
国政選挙も重なって、うっかり飲みに行くとどこも政治の話題ばかりだ。
民主党がどうだとか、自民党がどうだとか、年金がー、今度の安部政権はーとか。
当然のように俺にも話しが振られる。
「バーボンはどうなのよ?どう思う。」そんな感じで。
 「おれ政治に興味ないから。」
「じゃあバーボンはどこに入れるの?」
 「多分、どこにも。」
別にそれほどおかしな事とは思わないが、選挙や政治の話題で盛り上がっている飲み屋では変人を見るような目で見られる。
おかしな嫌味も言われる。
「余裕のある人はいいですね。この先心配じゃないんですかー。」
白ける俺を見て察しのいい人が助け舟を出してくれる。
「さすがバーのマスター、政治の話題は避けますよね。飲み屋で政治とプロ野球の話題は御法度!心得てますね。」
ありがたいが、実はそういうわけじゃない。
プロ野球の話しなら喜んでする。
今年の巨人はーとか、第二次原政権はーとか、上原!小笠原ー!スンヨプ!!とかなら。
ただ本当に興味がないだけなんだ。
だから俺に政治の話しをするのは野球に全く興味がないオネーちゃんにオープン戦のスコアブックを見せながら今年の巨人のスタメンを一緒に占うのとおなじことだ。
なにせ俺は選挙に行った事がない。
東京ドームには何度も行った事がある。
選挙について自分の店で俺は若者にはいつもこういっている。
 「ちゃんと選挙に行かなきゃダメだぞ。何も変わらないなんて思っちゃダメだぞ。」大人の男としての役割としてまっとうな事を言っている。
ただ俺は政治に全く興味がない。昔から。
さすがにここまで興味がないのは異常なのかと思うことがあった。
例えばやたらと選挙が盛り上がっている時期とかがそうだ。

ただここんとこの国民金融公庫から借り入れを通じてその理由が判った判った。
政治ってものは法律(ルール)を決めるところなら、俺はルールを守るよ。
何せ生きているだけで決断の連続だ。ルールを決める集まりに興味はもてない。
ただそのルールが判りづら過ぎる。融資を受けるまでに随分と遠回りをしたし苦労した。
知っていればしなくてもいいことまでした。
自分が三振しているのに気付かずバッターボックスに居座っている気にもなった。野球ならこんなことはない。
第一に国が金を貸してくれることなんか知らなかった。
これじゃあバカは損するように出来ている。

政治に何か言うとしたら2つぐらいしか思いつかない。1つ目はルールをわかりやすくしてくれ。
ルールを決めるなら決めてくれ、俺は守るよ。
守れなそうにないものもこれがルールだと言われたら、悪いけど守らないよ。
俺は自分の道徳観念には自信がある。立派な両親に育てられた大人だから。
俺が守れないルールは守らないよ。
多分皆もそうだと思う。
現にPSEはなくなった。
この町でも随分デモがあった。そうしたらルールがなくなった。
この国はそれほど捨てたもんじゃない。意外とみんな賢い。
ルールにのっとたら国が俺に金を貸してくれた。 
だから俺は政治には興味がない。
そして政治について言う二つ目は、もう1つは「国会議員のバカヤロー」かな。
 
築地の便所の落書き。 俺のお気に入りの落書き。

国会議員のバカヤロー                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

  # by kouenji-bourbon | 2008-09-16 09:41

4月になってからのこと

この一ヶ月、昼間はいつもここにいる。
新しく借りた豚カツ屋の物件だ。
ここでなにをしているかというと、店のレイアウトを考えている、人通りを見ている、事業計画書の資料を集めている、缶コーヒーを飲んでる、タバコを吸ってる。
ここには電気が通ってない、夕方になり暗くなるとここを出てバーボンハウスの開店準備に入る。
主になにをしているかというと人通りを見ている。
閉店した豚カツ屋の中で外の人通りを見続ける。
一日に何人か店を訪れる人がいる。豚カツを食べに来た人達だ。
事情を説明するとみな残念そうに帰っていく。愛されていた店だというのがよく解る。
俺も何度か食べに来た事があった。でっかい豚カツが嬉しかった。水曜日は半額だった。
やっぱり豚カツ屋をしようかな、俺が始めようとしてることのほうが明らかに馬鹿げてる。
そういえば最近の俺は豚カツばかり食べてる。うまいという店があると行き。
この店の道具を使って自分でも作ってみたりした。
事業計画がどんどんイビツになっていく。

今日も人通りを眺めていた。知ってる奴が歩いていた。
珍しい顔だ。この辺の奴じゃないはずだ。店を出て声を掛けた。
 「よお、お前こんなトコで何やってんだよ。」
「バーボンさん!お久しぶりです。高円寺に越してきました。芸人を目指して。」目がキラキラしてる。この時期多いなこんな奴。
 「なんで?大学院は?」
「辞めました!去年の暮れのフリーマーケットやバーボンハウスの4周年でネタをやらせてもらってギャラまでいただいて、その時の感動が忘れられなくて。」目がキラキラしてる。
 「やっちまったなーお前。なんてことしてんだ。芸人?売れるわけないだろ。」
「でも自分はその時の感動が忘れられなくて、もうやるしかないって決めたんですよ!」キラキラしてる。
 「その時の感動を青春の思い出には出来なかったのか?」
「、、、、、、いや、ないっすね。」少し曇った。
 「まあいいや、やるんならトコトン頑張れや。応援するよ。ところでお前何してるの仕事は?」 
「日雇いでなんとか食いつないでます。」
 「日雇いでなんとか食いつなげよ、今度新しい店出すからそこで雇ってやるよ。」
「本当ですか!どこですか?」
 「ここ。この店を新しいバーボンハウスに作りかえるから。」
「やりますよ!」キラキラしてる。「凄く運命を感じます!」
 「お前には最高の苦痛を与えてやるよ。よろしく頼むよ。」
「え。」少し曇った。
 「5月には動けるようにしとけよ。」

これで書きかけの事業計画書の4人の従業員の内の一人が決まった。
しかしこの時期多いなーこういう奴。
 

  # by kouenji-bourbon | 2008-04-07 00:39

4月 悪霊と呼んでいる

俺の使命。
開店時間から閉店時間までこの店にいる。お客がいなくても。
誰もいない飲み屋に立ち続ける。
それはきつい事で無人島に一人でいることより孤独を感じることになる。
全ての準備をする誰が来ても恥ずかしくない店を作り上げる。それを使命と思い。
それでもお客は来ない。
そんな時は今までしてきた自分のミスを責める。その結果が今味わってるこの気分だと。
一通り反省する。
よる1時をすぎて2時を回る。雨が降ってくる。もお誰も来ないだろうが店は開け続ける。
なぜならこの店は駅から遠い。ここまで来て店は閉まっている。それは悲劇だ。
たち続ける、使命感だ。
そして自分の頭の悪さ、他に最善の策が思いつかない。

お客が来た。
こんな時現れるお客は天使か悪魔だ。
でも今の俺にはなんでも天使に見える。きつい時間を過ごしすぎた。今まで積んだ経験と勘はどこかに消えてなくなってる。
それでいいと思っている。それが初心だ。

 「いらっしゃいませ!」
どっから見ても完全体の酔っ払いだ。
中通り最後の飲み屋バーボンハウス、引き受けるのも俺の仕事だ。
「ヒマそーだねー。この店。客いないじゃん。」
悪魔だ。いや! 初心!!この人は悪霊に取り付かれているだけだ。
「その帽子へんだよ。カウボーイのつもり?」
「マスター無口だねー。面白くないよ。だから客がいないんだよ。」
悪霊に取りつかれた人は頭がいい。俺が言われてつらいことばかりを瞬時に見つけてしゃべり続ける。

「あの間抜けな街頭放送この店なんでしょ。恥ずかしくない?あんなことまでしてお客欲しいの?」
 「お騒がせしてます。」

不思議なもので悪霊に取りつかれたお客はこういう時にしか来ない。
俺の弱気を感じ取って店に入ってくる。
思えば店を始めた頃の遅い時間のお客さんはほとんどがそうだった。悪霊に取り付かれると人は自分より弱い人間を探し出す嗅覚が働く。
右も左もわからなかった俺はこれが客商売と思い下手に下手に対応した。
そしてほとんどのお客が完全体以上のスーパーモンスターに変身して暴れまわった。

「マスター!俺のこと嫌いでしょう!」
 「いや、そんなことないですよ。」
この人は悪霊に取りつかれているだけだ。
前の店で面白くなかったんだろう。
ここまで完全体になって俺のところに来た。
俺の仕事だ。
昔と違うのが俺は経験を積んだ。これ以上モンスター化させない。
こんな時俺は牧師になる。モデルは映画の「エクソシスト」に出てくる牧師だ。
毅然とした態度で、理を説き、義を語り、仁をもって接する。
「マスター!俺のこと嫌いだろう!!だってフレンドリーじゃないもん。」
 「そんなことないですよ。本当に。」

そろそろしゃべることにする。しゃべる事はまっとうなことだ誰にでもわかる。
破壊力のある一言を。
「いや嫌いだね!フレンドリーじゃないね。」
 「好きも嫌いもないですよ。俺たち初対面じゃないですか。」
「でもヤッパリ嫌いでしょ?だってフレンドリーじゃないもん。」
 「だって俺達初対面じゃないですか。」
「そこをフレンドリーにするのが飲み屋の仕事だろ。」
 「それは嘘じゃないですか。」

まとめよう。
 「別に好きも嫌いもない。なぜなら初対面だからだ。フレンドリーに見えないのは嘘でフレンドリーに接しても今後いい付き合いができないからだ。そして俺がこういう人間だって事だ。」 「立場は違えど俺たちは同じ人間だ。感情がある。ムカつく事を立て続けに言われたら頭にくる。顔には出してないつもりだが出てたらゴメンな。好きも嫌いもない、俺達は初対面で俺は店をやっている。」

「ちょっと今日は飲みすぎた。お勘定で。」
彼の悪霊は去った。
今ここにいるのは俺と同い年くらいのオッサンだ。同じ世代を生きて、同じようなアイドルに夢中になり、同じようなロックバンドにあこがれた。
 「これよかったら、初めて来てくれた人にプレゼントしているライターです。何かの記念になれば。」
「あ、ありがとう。」
 「ありがとうございます!またよろしくお願いします。おやすみなさい。」 

また一人になった。
天使がくるかもしれないので店を開け続ける。たち続ける。他にいい方法を知らないから。

  # by kouenji-bourbon | 2008-02-22 05:13

4月 ジャックパーティー

 その日僕は早起きして自転車に乗って新宿に行った。
1リットル入りのジャックダニエルを大量に買ってきた。
今日はジャックガールが店に来る日だ。
ジャックダニエルからネオンも届いている。
少し誇らしい気持ちで僕は自転車をこいだ。少し早く着いて少し早く帰ってきた。

 僕は店に帰って店の掃除をした。
いつもより念入りに、掃除が楽しかった。時には好きな音楽をかけながら歌い、踊り、笑いながら掃除をした。
ジャックダニエルのYさんによるとジャックガールが二人とジャックボーイが一人来るらしい。
ジャックボーイ、おそらくジャックガールの用心棒らしい。
そんな奴要らないのに、彼女達の事は僕が守るのに、僕は少しジャックボーイに嫉妬していた。
話しによると酒場と言う酒場に彼女達を連れて、どんなに荒れた酒場だろうと何事もなく平和に大量のジャックダニエルを売りさばく凄腕だそうだ。
ダルトン、、、?80年代の映画「ロードハウス」に出て来る、伝説のバーテンダーダルトンみたいじゃないか!僕の憧れ。
僕はますますジャックボーイに嫉妬した。

何事もなく店を開け、その日の仕事をこなしていた。
時間が近づいてきた。僕の緊張の糸は張り詰めてきた。
ジャックボーイ、、、いったいどんな奴なんだ。僕の想像はどんどん膨らんでいった。
身長2メートル、体重110キロ、黒人?。。。。。黒人なのか!
気が付くと僕は仮想ジャックボーイとの戦いに明け暮れながら、仕事をしていた。
誰が店を仕切るのか。。。。
時間より少し遅れて彼らはやってきた。。。。。。。。。。。。。。




最高に楽しかったです。
多分俺はこういうことがしたくて店をやってるんだなーとつくづく思いました。
ガールズは可愛くてカッコよかったです。
ジャックボーイは本当に頼れる奴でした。リーゼントのアメフト選手でした。
気持ちのいい奴だった。
その日ジャックダニエルは大量に出た。営業のYさんも喜んでくれている。
この日は上半期の最高売り上げを出した。ハッタリの帳尻はあったと思う。



 
 黒塗りのジャックモービルに乗って彼らは次の町に旅立って行きました。
「僕も連れてってください!」と言うと。
ジャックボーイは葉巻の煙でくもるウインドー越しに「俺達はまたこの町に戻って来る。そしてここに来る事を約束する。それまでバーボンハウスを守っててくれ。」と言い残して爆音とともに走り去っていきました。
最後はジャックボーイのカッコよさにやられました。
走り去るジャックモービルをいつまでも見送る僕にハザードランプを点けて最後のサヨナラをしてくれました。
ジャックボーイはきめ細かい心の持ち主でした。


 僕の夢 
僕は大きくなったらジャックボーイに成りたいです。
背をあと30センチ伸ばして、体重をあと50キロ増やして僕はジャックボーイに成りたいです。
ジャックモービルに乗ってジャックガール達と世界中旅をして、ジャックダニエルを世界で一番売る男にになりたいです。

2007年 4月21日  バーボン37歳独身
4月 ジャックパーティー_a0099091_17521274.jpg

  # by kouenji-bourbon | 2008-02-18 17:52

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